ナレッジマネジメントのデータベースに Excel は使える? メリットや課題を解説
企業の情報や業務に関するノウハウ・知識などを従業員同士で共有して、組織力の強化を図ることをナレッジマネジメントといいます。
ナレッジマネジメントを行うために、社内の議事録やマニュアルなどを集約したツールがナレッジデータベース(ナレッジベース)です。
ナレッジデータベースを Microsoft Excel(※)(以下、Excel )で運用している、また今後 Excel でのナレッジ管理を検討している企業もあるのではないでしょうか。しかし、ナレッジデータベースとして Excel を用いるには、いくつか課題も存在します。
この記事では、ナレッジデータベースに Excel を利用するメリットと課題、運用のポイントやおすすめのツールについて解説します。
なお、ナレッジを蓄積する理由や具体的な方法については、こちらの記事で解説しています。
※ Microsoft Excel は、マイクロソフトグループの企業の商標です。
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ナレッジデータベースに Excel を利用するメリット
ナレッジマネジメントに Excel を利用するメリットは、以下が挙げられます。
▼ Excel を利用するメリット
- コストを抑えられる
- システム構築が必要ない
- 従業員への教育時間を短縮できる
従業員が使用するパソコンに Excel がインストールされている場合、導入コストがかからないため、ナレッジ共有のツールとして気軽に活用できます。
また、社内でシステムを構築する必要がなく、Excel でナレッジ管理ができるテンプレートやフォーマットを準備するだけで導入することが可能です。表計算やマクロ機能を活用すれば、データの入力・集計を効率的に行えるようになります。
すでに Excel を使用している企業や、使い慣れている従業員の場合、基本的な操作方法を説明する教育時間を短縮できるといったメリットもあります。
Excel を用いたナレッジマネジメントの課題
Excel を用いてナレッジマネジメントを実施するには、いくつか課題もあります。
▼ Excel を用いたナレッジマネジメントの課題
- リアルタイムでのデータ共有ができない
- バージョンが異なるファイルが混在しやすい
- ファイルの共有機能に制限がある
- 不具合によるデータ破損のリスクがある
- 閲覧・編集権限を詳細に設定できない
ファイル単位でローカル保存される Excel は、リアルタイムでのデータ共有ができません。従業員が個別にファイルを編集することで、異なるバージョンのファイルが混在してしまい、最新版を把握できなくなる可能性があります。
従業員の端末に保存していた旧ファイルを誤って使用すると、情報共有ミス・漏れにつながる可能性があることも課題です。
また、Excel には一つのファイルを同時編集して自動同期する共有機能があります。しかし、セル結合・解除、シートの削除といった一部の機能が制限されるため、ナレッジの共有が複雑になってしまうことも考えられます。
ほかにも、Excel に不具合が生じてデータが破損する、細かい権限設定ができずに情報漏洩が起こるといったリスクがあることも課題の一つです。
ナレッジデータベースを Excel で運用するポイント
ナレッジデータベースを Excel で運用する際は、バージョン管理やデータの共有を適切かつ円滑に行えるような仕組みを整えることが重要です。
①運用者と運用ルールを決める
Excel の運用者と運用ルールを決めて、ファイルの管理を行います。
Excel ファイルの管理方法が従業員によって異なると、複数のバージョンが混同してしまい、最新のナレッジを共有・検索することが難しくなります。
運用者を中心にナレッジのデータベースを追加・更新して、従業員が活用しやすいようにデータベースの保管・投稿場所などを決めておくことが重要です。
②共有・管理しやすいフォーマットを作成する
運用者と運用ルールを定めたあとは、ナレッジを共有・管理しやすいフォーマットを作成します。
Excel ファイルを作成した運用者にしか分からないフォーマットは、従業員が扱いづらく、ナレッジの積極的な共有が進まなくなる可能性があります。
従業員の誰もが見やすいように、ナレッジの書き方や共有方法、検索方法などが統一化されたフォーマットを作成することがポイントです。
ゼロからのフォーマット作成が難しい場合には、Excel の公式サイトで配布しているテンプレートを使用する方法もあります。
ナレッジマネジメントの効率化にはツールの導入がおすすめ
ナレッジマネジメントに Excel を用いることは可能ですが、リアルタイムな情報共有やバージョン管理、権限管理などの課題は残ります。
社内のナレッジマネジメントを促進するには、従業員がナレッジを円滑に共有・編集できる仕組みが必要です。そのために有効な方法として、ナレッジマネジメント専用ツールの導入があります。
①スムーズに情報を共有できる
従業員が自身の端末を利用してデータベースにアクセスできるため、必要なデータの呼び出しをスムーズに行えるようになります。
ナレッジの作成・共有・検索が円滑にできるようになると、ナレッジマネジメントを促進できるほか、業務の効率化にもつながります。
②データ連携やシステム連携が簡単にできる
使用するツールによっては、分散しているデータを統合して一元管理したり、ほかのシステムと連携したりすることが可能です。
異なる部署やオフィスにいる従業員が持つナレッジを、ツール上で統合することで、組織横断的なナレッジの活用ができるようになります。
また、ほかのコミュニケーションツールや Excel をはじめとする Office 製品との連携ができるツールであれば、ナレッジの作成・集計も効率的に行えます。
③同時に編集できる
ナレッジマネジメントの専用ツールを用いると、複数人で閲覧しながらナレッジの内容をリアルタイムで確認・編集できます。
編集履歴を見ると、誰が編集したナレッジかを把握できるため、その情報に詳しい人に業務ノウハウや問題解決のためのアドバイスをもらうことが可能です。
また、Excel のように複数のバージョンが存在することによって発生しやすい情報共有ミスを防ぐことにもつながります。
まとめ
この記事では、Excel を用いたナレッジマネジメントについて、以下の内容を解説しました。
- ナレッジデータベースにExcelを利用するメリット
- Excel を用いることによる課題
- ナレッジデータベースをExcelで運用するポイント
- 専用ツールで対応できること
ナレッジデータベースに Excel を用いると、導入コストを抑えられる、社内のシステム構築が必要ない、操作方法の教育時間を短縮できるなどのメリットがあります。
一方、手軽に始めやすい反面、リアルタイムな情報共有やバージョン管理、権限管理などに課題が残るため、スムーズな運用ができない可能性も考えられます。
ナレッジマネジメントを促進するには、専用ツールを導入して、従業員がナレッジを円滑に共有・検索しやすい環境を構築することが有効です。
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