ナレッジベースの作り方! 現場活用を促進させる作成ポイントも解説
同じ従業員が特定の業務を長年担当していたり、専門的な知識・経験が求められる業務があったりする職場では、業務の属人化やノウハウの継承が進まないなどの課題につながりやすくなります。
特に担当者の勘や経験などの“暗黙知”については、言語化・図式化することが難しく、社内へナレッジ共有しにくいという課題があります。
企業の知識資産を可視化して社内で蓄積・共有するためには、ナレッジベースの作成が有効です。しかし、「ナレッジベースをどのように作成するのか」「現場での定着化を図るためにどのような設計・管理が必要なのか」と疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。
この記事では、ナレッジベースとは何か、作成するメリットや作り方、作成時のポイントについて解説します。
目次[非表示]
- 1.ナレッジベースとは
- 2.ナレッジベースを作成するメリット
- 3.ナレッジベースの作り方
- 3.1.①既存ツールを利用する
- 3.2.②専用ツールを導入する
- 4.ナレッジベースを作成するときのポイント
- 4.1.①データの検索・抽出がしやすい設計
- 4.2.②社内マニュアルの作成
- 4.3.③社内FAQの作成
- 4.4.④定期的な更新
- 5.まとめ
ナレッジベースとは
ナレッジベースとは、業務に関する知識を集約したデータベースのことです。
従業員が持つ知識やノウハウ、技術などのさまざまな知識資産をナレッジベースに蓄積することで、誰でも必要なときに必要な情報を得られるようになります。
ナレッジベースの特徴は、従業員の勘・経験で行ってきた言語化が難しい暗黙知を、“形式知(※)”に変換して共有できるようにすることです。
※形式知とは、文書・図解などで明文化された知識のこと。
ナレッジベースを作成するメリット
ナレッジベースを作成すると、これまで従業員が個別で保有していた知識・ノウハウを社内で共有できるようになります。これにより、以下のメリットが期待できます。
業務の効率化
ナレッジベースを作成すると、業務に不明点がある場合に必要な情報を検索して、従業員自ら問題解決することが可能です。
これにより、業務の滞りを防げるほか、担当者に不明点を確認する労力・時間を削減できるため、業務効率を高められます。
スキルの向上
従業員のスキル向上を図れることもナレッジベースのメリットの一つです。
従業員の知識・ノウハウを言語化・図式化してナレッジベースに落とし込むことで、新たな気づきにつながり従業員の成長を促せるようになります。
また、専門的な業務や長年の経験で培った知識・ノウハウを新たに習得する時間を短縮できるため、従業員の教育コストを抑えることも可能です。
応対品質の向上
ナレッジベースを作成して、顧客や取引先からよくある質問とその回答を蓄積・共有すると、スピーディかつ的確な回答ができるようになり、応対品質の向上につながります。
また、ナレッジベースに基づいて顧客対応の仕組みを構築すれば、社内の回答内容を統一できるようになり、担当者によって対応が異なるといったトラブルも防げます。
引き継ぎの円滑化
業務に関する知識をナレッジベースに蓄積しておくことで、担当者が退職・異動した場合にも業務の引き継ぎをスムーズに行えるようになります。
また、業務の進め方やコツなども共有できるようにすると、業務の属人化を防ぎ、急な人員の入れ替えにも対応しやすくなります。
ナレッジベースの作り方
ナレッジベースの作り方には、大きく2つの方法があります。
①既存ツールを利用する
1つ目は、Microsoft Excel (※)や Microsoft Word 、すでに業務で使用しているツールを活用する方法です。
普段から業務で使用するツールは、操作に慣れた従業員も多いと考えられ、新たなツールの導入コストを抑えられるメリットがあります。ただし、社内で実用できるようなフォーマットの作成が必要です。
なお、Microsoft Excel を利用したナレッジマネジメントのメリットや課題については、こちらの記事で解説しています。
※ Microsoft Excel 、Microsoft Word は、マイクロソフト グループの企業の商標です。
②専用ツールを導入する
2つ目は、ナレッジマネジメントに特化したツールを導入する方法です。
専用ツールには、ナレッジ共有のためのテンプレートや検索機能、共有範囲指定機能など多彩な機能が備わっているため、自社でフォーマットを作成する必要がないというメリットがあります。
導入する際は、ナレッジベースの用途や予算に応じて、必要な機能が備わったツールを選ぶことが重要です。ナレッジマネジメントの専用ツールには、以下のような種類があります。
▼ナレッジマネジメントの専用ツール
ツールの種類 |
内容 |
グループウェア型 |
社内のコミュニケーションやデータ共有に特化したツール |
オンラインストレージ型 |
業務資料や顧客情報などのデータをクラウド上で保管・共有するツール |
ヘルプデスク型 |
社内の業務知識や営業情報などを従業員が登録・検索できるツール |
ツールによって利用形態は異なりますが、クラウド上で利用できるツールを選ぶと、場所や端末の制限なくデータの共有が可能です。
クラウド型ナレッジメントツールのメリットは、こちらの記事で解説しています。
ナレッジベースを作成するときのポイント
ナレッジベースを作成するときは、従業員がナレッジを登録しやすく、現場で活用しやすい設計・仕組みにすることが重要です。作成するときのポイントは、以下の4つが挙げられます。
①データの検索・抽出がしやすい設計
ナレッジベースは、データの検索・抽出がしやすいように設計します。データのカテゴリ分けや、ナレッジを追加する際の見出しのルールなどを統一して、誰でも必要な情報を探しやすくすることがポイントです。
▼データの検索・抽出がしやすい設計の例
- 従業員が検索しそうな主要キーワードを見出しに含める
- 登録する文章のフォーマットを統一する
- ナレッジの種類や活用シーン別にカテゴリ分けを行う
②社内マニュアルの作成
ナレッジの登録方法や文章の記載方法、カテゴリ分けの方法などを社内マニュアルにまとめて、従業員に共有することが必要です。
社内の運用ルールを統一することで、「担当者によって記載内容がばらばらになっている」「必要な情報がどこに記載されているか分からない」といった問題を防ぎ、見やすくて使いやすいナレッジベースを作成できます。
また、ナレッジベースに専用ツールを利用する際は、ツールの基本的な操作方法や活用方法なども共有しておくと、現場でスムーズに利用できます。
③社内FAQの作成
ナレッジベース内に社内FAQを設置することもポイントの一つです。
社内FAQとは、従業員から寄せられるよくある質問とその回答をまとめたものです。ナレッジベースの活用方法や不明点などがあった際に、従業員が自身で問題を解決できるようになります。これにより、社内のヘルプデスク対応の負担が削減されて、より効率的な運用につながります。
④定期的な更新
作成したナレッジベースは定期的に更新します。
ナレッジは時間とともに移り変わるため、古い情報が登録されたままでは、業務の非効率化やミスを招くおそれがあります。
常に最新のナレッジにアクセスできるように、不要かつ古い情報は削除・更新を行い、継続的に見直すことが求められます。
まとめ
この記事では、ナレッジベースの作り方について以下の内容を解説しました。
- ナレッジベースの概要
- ナレッジベースを作成するメリット
- ナレッジベースの作り方
- ナレッジベースを作成するときのポイント
ナレッジベースを作成すると、従業員の知識・ノウハウを社内全体で共有できるようになり、業務効率化やスキル向上、応対品質の向上、引き継ぎの円滑化などのメリットが期待できます。
現場で活用しやすいナレッジベースを作成するには、データの検索・抽出がしやすい設計にする、社内マニュアルや社内FAQを作成する、定期的に更新することがポイントです。
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