ナレッジトランスファーを活用したい! 進め方やコツ、有効なツールを紹介

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社内業務を行う際は、知識・情報の蓄積や共有は必要不可欠です。しかし、業務に携わる担当者にだけ知識・情報が蓄積されると、ほかの従業員は「業務内容や進め方が分からない」と困る可能性があります。

業務に必要な知識・情報が偏ると、業務の属人化や生産性の低下につながる可能性があるため、従業員全員で共有できる体制が望まれます。そのために有効なのが、ナレッジトランスファーです。

企業担当者のなかには、「ナレッジトランスファーの進め方について知りたい」「活用できるツールを探している」といった方もいるのではないでしょうか。

この記事では、ナレッジトランスファーの概要や進め方、有効なツールを紹介します。


目次[非表示]

  1. 1.ナレッジトランスファーとは
  2. 2.ナレッジトランスファーの進め方
    1. 2.1.①連続移転
    2. 2.2.②近接移転
    3. 2.3.③遠隔移転
    4. 2.4.④戦略移転
    5. 2.5.⑤専門知移転
  3. 3.ナレッジトランスファーを推進するためのコツ
    1. 3.1.ナレッジを共有しやすい環境の構築
    2. 3.2.心理的・時間的コストの削減
    3. 3.3.担当者の選定
  4. 4.ナレッジトランスファーに有効なツールの種類
    1. 4.1.社内wiki
    2. 4.2.ヘルプデスク(FAQ)ツール
    3. 4.3.ナレッジマネジメントツール
  5. 5.まとめ


ナレッジトランスファーとは

ナレッジトランスファー(knowledge transfer:知識の移転)とは、知識を持っている人から持っていない人に共有することです。

従業員が持つ知識・ノウハウをほかの従業員に共有することで、業務の属人化を解消したり、社内全体のスキル向上を図ったりできるメリットがあります。

共有した知識・ノウハウを蓄積できる仕組みを構築すれば、社内の知識資産を増やすことができるため、組織の成長につながります。



ナレッジトランスファーの進め方

ナレッジトランスファーの進め方には、5つの方法があります。


①連続移転

連続移転とは、ある業務を通じて得たチーム内の知識・ノウハウを、別の状況下でも同様の業務を行えるようにする方法です。

連続移転でナレッジトランスファーを実施するには、チーム内で情報共有ができる取り組みを行う必要があります。


▼連続移転の方法

  • チーム全員が参加するミーティングを定期開催する
  • 担当者が変更するときに、後任に業務内容を引き継ぐ
  • 同じ部署の先輩が後輩を教育する


②近接移転

近接移転とは、チーム内で繰り返し行う定型業務を通じて得た知識・ノウハウを、同様の業務を行う別のチームに移転して活用できるようにする方法です。

実施する際は、ナレッジを分かりやすく言語化・図式化してから別チームへ伝達することが重要です。ただし、すべてのナレッジを共有しようとすると不要な情報も含まれる可能性があるため、共有するナレッジの種類や移転する対象者を絞る必要があります。


▼近接移転の方法

  • 情報共有ツールを活用して業務手順を登録する
  • 業務フローをまとめたマニュアルを作成して共有する


③遠隔移転

遠隔移転とは、頻繁に行う非定型業務を別チームでも同様の業務が行えるように、知識・ノウハウを共有する方法です。

遠隔移転は近接移転と異なり、言語化・図式化が難しい“暗黙知”を対象としています。そのため、ナレッジを保有する従業員が、知識・ノウハウを共有できる場を設けることが有効とされています。


▼遠隔移転の方法

  • ナレッジ保有者と移転対象者が一緒に作業を行う
  • ナレッジ保有者が移転先で知識・ノウハウを直接教える


④戦略移転

戦略移転とは、発生頻度が極めて低い業務を通じて得た知識を、別のチームで再利用する方法です。

戦略的移転は、大規模かつ特殊なプロジェクトや、今後発生するか分からない業務から得たナレッジが移転対象です。ナレッジの活用シーンは限定されますが、組織力の強化のためにナレッジを蓄積することが求められます。


▼戦略移転の方法

  • スペシャリストがナレッジ収集・解釈・変換を行う
  • 過去のデータではなくリアルタイムで情報を収集する


⑤専門知移転

専門知移転とは、業務に関する専門性の高い知識・ノウハウを、ほかのチームや従業員が使えるようにする方法です。

近接移転と同様に、移転対象となるナレッジは形式知に当たります。そのため、ツールの活用や質疑応答の場を設けて、ナレッジの提供者・移転する対象者の双方で積極的な情報交換を行うことが重要です。


▼専門知移転の方法

  • ナレッジ保有者による勉強会や講習会を開催する
  • トピックごとの電子フォーラムを開催する
  • ナレッジ保有者と移転対象者を含めた質疑応答や実践の機会を設ける



ナレッジトランスファーを推進するためのコツ

ナレッジトランスファーを推進するには、従業員・チームが持つ業務の知識・ノウハウの共有を促すための工夫が必要です。


ナレッジを共有しやすい環境の構築

従業員やチームがナレッジを共有しやすい環境を構築することが重要です。

例えば、以下のような取り組みが挙げられます。


▼ナレッジ共有を促す環境構築の例

  • 情報共有ツールの導入
  • 業務に関する手順書の作成
  • 従業員の意識統一


ナレッジの共有方法や手順を明確化することで、誰もが知識・ノウハウを共有しやすい環境をつくれます。また、部署やチーム内で定期的にミーティングを行い、従業員間のコミュニケーションを活発にすることも可能です。


心理的・時間的コストの削減

ナレッジトランスファーによって発生する、心理的・時間的コストの削減もコツの一つです。

ナレッジの保有者には、自分の持っているナレッジを共有・移転しなければならないという心理的・時間的な負担が発生します。

気軽にナレッジトランスファーに取り組めるように、上司・責任者によるサポートを行ったり、スムーズにナレッジ共有をするためのテンプレートを作成したりすることが必要です。


担当者の選定

専任の担当者を選定して、担当者主導のもとでナレッジトランスファーを進めることもコツといえます。

ナレッジトランスファーの有効性を検証しながら、「誰にどの範囲のナレッジを共有するか」を整理して進めることで、効率的なナレッジ共有につながります。



ナレッジトランスファーに有効なツールの種類

ナレッジトランスファーを実施する際は、部署やチーム、従業員間で情報の蓄積・管理・検索ができるツールを活用することが有効です。


社内wiki

社内wikiとは、社内のナレッジを従業員が書き込み・編集・閲覧・検索できるツールです。ほかのチームや従業員に共有したい知識・ノウハウを体系化して蓄積することで、必要なときに欲しい情報をすぐに調べることができます。


ヘルプデスク(FAQ)ツール

ヘルプデスクツールとは、業務に関する疑問を従業員が検索できるツールです。

新しい業務に携わる際や、担当者が不在の場合などにヘルプデスクツールで不明点を検索できるため、従業員の自己解決を促せます。

これにより、専門知識を有する従業員への問い合わせ対応を減らせるほか、業務の属人化防止にもつながります。


ナレッジマネジメントツール

ナレッジマネジメントツールとは、個人が持つ知識・ノウハウを集約して管理・共有するツールのことです。

チャットでのメッセージのやり取りや各種ファイルの共有、ヘルプデスク機能などが備わっており、ナレッジの登録・検索を行えます。

業務手順・マニュアルなどの形式知を共有するだけでなく、部署・チームでのコミュニケーションが促されることで、暗黙知の形式知化や組織内の意識統一にもつながります。



まとめ

この記事では、ナレッジトランスファーについて以下の内容を解説しました。


  • ナレッジトランスファーの概要
  • 5つのナレッジ移転方法
  • ナレッジトランスファーを推進するためのコツ
  • ナレッジトランスファーに有効なツール


ナレッジトランスファーには、ナレッジの種類や目的に応じて5つの移転方法があります。実施する際は、ナレッジを共有しやすい環境をつくるとともに、ナレッジ保有者の心理的・時間的コストの削減や、担当者を定めて運用することがコツです。

社内wikiやヘルプデスク、ナレッジマネジメントツールなどのツールを活用することで、効率的にナレッジトランスファーを推進できます。

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なお、社内でナレッジを共有するメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。

  社内でナレッジを共有するメリットと注意点 社内でナレッジを蓄積することは、業務の属人化防止や業務効率化などに役立ちます。しかし、ナレッジは蓄積するだけでなく、従業員同士で共有し合うことで真価を発揮します。 ナレッジの共有を検討している企業には「共有によってどのようなメリットがあるか分からない」「共有の際の注意点が知りたい」という担当者の方もいるのではないでしょうか。 そこでこの記事では、ナレッジを共有する3つのメリットとともに、共有する際の注意点も紹介します。 ez-vital|中小企業のDX化を支援するクラウドサービス


ez vital編集部
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